1台のHDDでより多くのデータ量を保管できるようになるのはコストの点で利点が見込める。だが利点の裏には、何らかの懸念点が存在することもある。HDDベンダーが重視し始めたHDDの設計とは。
HDDの主要ベンダーの2社、Western DigitalとSeagate Technologyは、HDD内部の“ある設計”を重視し始めている。背景にあるのは、容量増大が今後も続く見込みであることだ。既に容量20TBを超えるHDDは珍しくなくなっている。扱うデータ容量が大きくなることで、どのような問題が発生してしまうのか。
HDDベンダーは、磁気ヘッドを制御するアクチュエーターを2つ搭載する「デュアルアクチュエーター」の設計を取り入れ始めた。デュアルアクチュエーター搭載のHDDを拡充させてきたSeagate Technologyに続いて、Western Digitalは2023年に入ってから情報を公開したデータセンター向けHDD「Ultrastar DC HS760」(写真)に、デュアルアクチュエーターを搭載した。
デュアルアクチュエーター搭載のHDDでは、2つの独立したアクチュエーターが同時にデータを読み書きする。そのため、アクチュエーターを1つしか搭載しないHDDに比べてデータの読み書きが高速化するという分かりやすい利点が見込める。
調査会社IDCのアナリストであるエド・バーンズ氏は、デュアルアクチュエーターは「将来のストレージ市場に大きな恩恵をもたらす可能性がある」と指摘する。企業が保有するデータ量は増大する傾向にあり、読み書きやデータ転送の性能を向上させなければ、必要なデータを正常に扱えなくなってしまう懸念があるからだ。
容量の増加を見据えると、複数のアクチュエーターを利用するマルチアクチュエーターの技術は極めて重要になる。「シングルアクチュエーターでは、大容量のHDDが保管する全てのデータに素早くアクセスできない可能性がある」(バーンズ氏)
調査会社Coughlin Associatesのプレジデント、トム・カフリン氏も、デュアルアクチュエーターの必要性が今後より高まるという点に同意する。特にカフリン氏が懸念するのは、HDDには寿命があり、寿命が来るHDDは交換しなければならない点だ。
HDDが大容量になるほど、ストレージのリビルド(再構築)には時間がかかる。デュアルアクチュエーターを使えばリビルドの時間が短縮することが期待できるため、カフリン氏は「HDDが寿命を迎えて、データの読み書きができなくなる事態に陥るリスクを低減できる」と見込む。
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