IaaSでもPaaSでもある「NaaS」の謎 3つの利用方法とは?NaaS(Network as a Service)の現在地【後編】

ネットワークをサービスとして利用するNaaSには、現状は3つの提供形態がある。それぞれの提供形態のメリットと、活用例を解説する。

2024年01月05日 05時00分 公開
[Jennifer EnglishTechTarget]

 ネットワークやそのインフラをサブスクリプション形式で利用する「NaaS」の現状について、ネットワークのオープン化を目指す団体ONUG(Open Networking User Group)は標準化や企業の導入が遅れていると指摘した。発展途上にあるNaaSは、どのような形で利用できるのか。活用例を含めて解説する。

IaaSでもPaaSでもある「NaaS」の実態

 ONUGによれば、NaaSは以下の3つの形式で利用が可能だ。

  • マネージドサービス
  • PaaS(Platform as a Service)
  • IaaS(Infrastructure as a Service)

 マネージドサービスでのNaaSは、マネージドサービスプロバイダー(MSP)が製品やシステムをすぐに利用できる状態で納品する「ターンキーサービス」として利用できる点がメリットだ。

 Verizon Business Global SolutionsのNaaS担当アソシエイトフェローであるケン・パテル氏は、「ユーザーはMSPの専門知識を活用しながら、自社が望むようにネットワークをコントロールできる」と語る。ただし、この場合はネットワークのインフラをMSPが提供するとは限らない。そのためサービスや機能に関する変更が、他のNaaSより遅くなる可能性がある。

 PaaSでは、PaaS事業者がネットワークのインフラをNaaSとしてユーザーに提供する。PaaSのインフラには、企業のオンプレミスシステムやIaaSを結ぶ専用線が含まれる。そのWANを仮想化して扱えるため、オンデマンドでネットワークの機能やサービスを利用したり、拡縮をしたりできる。

 IaaSはDIY(Do It Yourself)でネットワークの機能を利用したい企業に向いている。ITサービスベンダーのMicrolandでCTO(最高技術責任者)を務めるロバート・ワイソッキ氏は、「IaaS形式のNaaSのメリットはポリシーをより厳密に管理できることだ」と説明する。

NaaSの活用例

 NaaSの活用例にはどのようなものがあるのか。ネットワークサービスベンダーのAT&T Businessでシニアディレクターを務めるリッキー・ツイ氏は「新型コロナウイルスに関する期間限定のWebサイトを立ち上げた企業向けに、NaaSを提供した」と話す。「企業はネットワークへの投資を過剰にしてしまうことを防ぐため、従量課金制のサービスを望んでいる」(ツイ氏)

 医療サービスを提供するCigna Healthcareのバイスプレジデントを務めるクリス・モレッティ氏によれば、M&A(合併と買収)において吸収する側の企業と吸収される企業が、セキュリティポリシーやネットワーク機器の設定などを統合するのにNaaSが役に立つという。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news061.png

高齢男性はレジ待ちが苦手、女性は待たないためにアプリを活用――アイリッジ調査
実店舗を持つ企業が「アプリでどのようなユーザー体験を提供すべきか」を考えるヒントが...

news193.jpg

IASがブランドセーフティーの計測を拡張 誤報に関するレポートを追加
IASは、ブランドセーフティーと適合性の計測ソリューションを拡張し、誤報とともに広告が...

news047.png

【Googleが公式見解を発表】中古ドメインを絶対に使ってはいけない理由とは?
Googleが中古ドメインの不正利用を禁止を公式に発表しました。その理由や今後の対応につ...