「第3のプラットフォーム」時代を生き抜くためのスキルとは?新たなテクノロジー分野の求人が増加

モバイル、ソーシャル、ビッグデータ、クラウドで構成される、いわゆる「第3のプラットフォーム」が台頭している。その関連スキルを備えた人材の確保が、企業での喫緊の課題となっているようだ。

2013年09月11日 08時00分 公開
[Mike Anderson,TechTarget]

 モバイルソーシャルビッグデータクラウドで構成される、いわゆる「第3のプラットフォーム」関連のスキルを備えたITプロフェッショナルを探している企業は多い。だが、こうした最新のテクノロジーに精通した人材はなかなか見つからない。

 米調査会社IDCのプロジェクト型サービス担当プログラム副社長、クッシング・アンダーソン氏が先日、オンラインセミナー「IT Staffing for the Third Platform:Challenges and Opportunities(第3のプラットフォーム時代のIT人材戦略:その課題とチャンス)」で語ったところによると、世界では雇用者の3分の1が「IT人材の確保に苦労している」という。

 「第3のプラットフォームは今後のIT雇用全般の伸びに寄与するはずだ。IT部門の管理者は第3のプラットフォームを運用できる人材を雇い入れ、ITを専攻した学生たちの多くも第3のプラットフォームの分野に進んでいる」とアンダーソン氏は語る。

 テクノロジー系求人サイトの米Dice.comによると、実際、第3のプラットフォーム関連の求人が増えつつあるという。「Diceで扱う求人件数は全体では横ばいだが、新しいテクノロジーに関連した求人は増加している」と、同サイトを運営するDice Holdingsの広報担当者レイチェル・チェッカレッリ氏は語る。

 同氏によれば、2012年7月1日から2013年7月2日までに、ビッグデータ関連の求人は143%増加し、ビッグデータの主要スキルセットの1つである「Apache Hadoop」関連の求人は同じ時期に85%増加したという。Hadoopは、ビッグデータを処理するためのオープンソースソフトウェアフレームワークだ。Diceでは目下、これら2つのスキルの需要が最も急速に高まっている。

 だが、先日のオンラインセミナーに登壇したIDCの欧州サービス担当副社長マリアン・コールディング氏によれば、Hadoopの構築、実装、管理の方法を理解している人材は非常に少ないという。

クラウドが雇用に及ぼす影響

 一方、クラウド関連の求人は同じ時期に32%増加している。コールディング氏によれば、クラウド環境を構築して最適化するためには、確かに新しいITスキルが必要となるが、それがIT雇用市場に及ぼす影響を判断するのは、まだ突入したばかりのクラウドの時代においては時期尚早だという。

 実際、パブリッククラウドプライベートクラウドとともに自動化が進めば、必要なITスキルやITリソースはこれまでよりも少なくて済む。だがこれはクラウドを設計、構築、最適化するスキルを備えたIT人材が必要ないというわけでは決してない。

 「われわれの推定では、企業はITサービスの展開コストのうち、約85%をプライベートクラウドに割いている。企業には、システムをクラウドに移行するためのスキルが必要だ」

 コールディング氏は、「クラウドによってIT関連の雇用が増えるか減るかについては、何とも言えない。ただ従来の技術や運用サポートの需要はこの先、徐々に少なくなっていくだろう」と続ける。

 企業はエンタープライズソーシャルネットワークも検討中であり、ソーシャルプラットフォームに精通したITプロフェッショナルを必要としている。モバイル化の流れに伴い、モバイルアプリケーションと開発のスキルを持つIT担当者のニーズも高まっている。

 Dice.comによれば、iPhone関連の求人は2012年7月から2013年7月までに10%増加し、2011年7月から2012年7月にはほぼ2倍に増加したという。Android関連の求人も2012年7月から2013年7月までに10%増加し、2011年7月から2012年7月には1417件から2131件に増加している。

 モバイルアプリケーション関連の求人は2012年7月から2013年7月までに5%と微増だが、2011年7月から2012年7月までの間は1075件から1507件と、増加率がやや大きくなっている。

資格の必要性

 最新テクノロジーに関連したスキルの正式な資格認定が雇用主にとって重要かどうかは、会社ごとに異なる。

 「資格を取得する必要はないが、自分の担当分野についてはしっかり理解していなければならない。技術が急速に変化する中、積極的に学ぶ姿勢が重要となる」とDice HoldingsのCEO、スコット・メランド氏は指摘する。

 2012年2月のDiceの調査報告書によると、全ての資格が等しく評価されるわけではないようだ。

 「投資に値する資格かどうかを判断するのは、ITプロフェッショナル本人だ。ただし、請負契約者にとっては、資格はより大きな意味を持つ。資格はITプロフェッショナルの価値を高め、新たな会社から新たなプロジェクトを勝ち取る上で役に立つからだ」とDice Holdingsのチェッカレッリ氏は語る。

 同氏によれば、「新規の仕事を取る上で資格取得が役立った」と語る技術コンサルタントは全体の40%を占めており、これは従来の役割を担うITプロフェッショナルと比べて約10%高い数字だという。

 「資格は2つの側面で役立つ可能性がある」とメランドCEOは語る。1つはITプロフェッショナルが自分のスキルセットを最新のものにしたいと考えている場合、もう1つは新しいテクノロジーの分野に参入しようとしている企業で働くITプロフェッショナルが、自分にそのためのスキルがあることを示したい場合だ。

 「そうしたスキルを活用した経験を証明できれば、それは雇用される側にとって最も価値ある資産になる」とメランド氏は語る。

 メランド氏によれば、第3のプラットフォーム関連のテクノロジーを学ぶのは難しいことではなく、費用対効果も非常に高いものになり得るという。

 「ボストンやシアトルなど、IT産業が盛んな土地で暮らしているのなら、こうした重要な最新技術に関するプログラムがコミュニティーカレッジで用意されている可能性も高い」と同氏は語る。

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