「使いたければ全部買い替え」は解決するのか?
広がるハイパーコンバージドシステムの選択肢、製品選択のポイントは?(1/2 ページ)
ハイパーコンバージドシステムには、容量、処理能力、ベンダーロックインなど、何かと面倒な制約があった。しかし、その問題にベンダーが対処することで、企業は多くの選択肢を検討できるようになった。
ハイパーコンバージド市場で現在提供している製品は、自己完結型で初期設定が不要なシステムがほとんどだ。一般的に、このシステムは単独のベンダーが販売し、販売元のベンダーかインテグレータのブランドを付けている。システムには、ハードウェア、ソフトウェア、管理機能、総合的なサポートといったコンピューティングインフラの構築に必要なものを全てそろえている。
一般的なハイパーコンバージドシステムは、複数の物理的なアプライアンスモジュールで構成している。これらのモジュールでは、ノードと呼ぶスケールアウトトポロジーを採用している。各ノードには、ストレージ、計算エンジン、ネットワークコンポーネントの他、ほとんどの場合で、ハイバーバイザを含んでいる。なお、ハイパーコンバージドにおいて必須ではないものの、主要な製品では最低1つのハイパーバイザーのオプションを用意している。2つ以上のオプションを提供する製品も少なくない。
一般的なアプライアンスは、1~4台のノードを含んでいる。各ノードは、ボディを共有するCPUとメモリを備えた独立したサーバだ。ハイパーコンバージドクラスタでは、4~16台のノードを持つものが多い。ノードの数に制限を設けていないクラスタもある。ハイパーコンバージドインフラは、仮想SANまたはクラスタ化したファイルシステムソフトウェアを活用することで、複数のノードでストレージを共有している。
ハイパーコンバージドストレージのベースとなったハイパースケールの概念
ハイパーコンバージド市場は、オープンストレージプラットフォーム(OSP)と呼ぶモデルをベースにしている。OSPは、ソーシャルメディアやインターネットベースのビジネスが生み出す膨大なデータを保存および処理するための方法として、大手Webサービスベンダーが開発した。これらのWebサービスベンダーは、業界標準のx86サーバハードウェアのエコシステムとソフトウェア定義ストレージ機能で実現する柔軟性を上手く利用したが、その機能の多くを利用するためには、自分たちで設定ファイルの定義を記述する必要があった。
このような出発点から、ハイパーコンバージド市場のベンダーはOSPモデルを製品化し、DIYの側面を取り除き、初期設定不要のアプライアンスにコンポーネントを統合した。
ハイパーコンバージド製品の進化は、そのほとんどにおいて段階的に行ってきた。ベンダーは、ストレージ容量(フラッシュやHDD)、計算能力、メモリを強化したモデル構成を追加してきた。大半のハイパーコンバージド製品は、フラッシュとHDDストレージを組み合わせて使用している。その一方で、オールフラッシュ構成の製品やHDDだけの製品を提供するベンダーもある。
最も一般的なアプローチは、独自にソフトウェアを開発することだ。そのソフトウェアは、組み込み型ストレージと管理機能を含んでいるか、組み込み型ハイパーバイザの仮想マシン(VM)として管理機能を実行する。このようなソフトウェアは、メーカー製x86サーバハードウェアまたは主要なプラットフォームベンダー製サーバにインストールしている。このアプローチをとるハードウェアベンダーが、米Hewlett Packard Enterprise(以下、HPE)、米Cisco Systems、米Supermicroなどだ。また、ハイパーコンバージド製品には、米Atlantisの「Atlantis HyperScale」、HPEの「CS-250 StoreVirtual」、米Maxtaの「MaxDeploy」、米Nutanixの「Acropolis」、米Dellの「XC」シリーズ(Nutanixのソフトウェアを使用)、米Scale Computingの「Scale Computing HC3」、米SimpliVityの「OmniCube」などがある。
もう1つのアプローチは、米VMwareの「EVO:RAIL」プラットフォームを使用する方法だ。2014年8月の「VMworld 2014」で発表したEVO:RAILは、VMwareのハイパーバイザにストレージと管理機能を統合する参照アーキテクチャと考えることができる。VMwareは主要ベンダーの大半とパートナー契約を結び、VMwareの仮想SANソフトウェアを搭載したベンダーブランドのx86サーバを使用してEVO:RAILを販売している。このような製品の中には、Dellの「Dell EVO:RAIL」、米EMCの「VSPEX Blue」、富士通の「PrimeFlex」、日立データシステムの「HDS UCP 1000」、米NetAppの「NetAppR Integrated EVO: RAIL Solution」、米Supermicroの「SYS-2028TP」がある。VO:RAIL製品のほとんどは、本質的に同じ構成になっているが、ベンダーごとに独自の機能がいくらか備わっている。
各ノードのハイパーコンバージドインフラの構成は大きく異なる。最大で24基のCPUコアと0.5Tバイトのメモリを搭載しているものがある。ストレージのオプションも、2Uのアプライアンスごとに最大60Tバイトのディスクと38Tバイトのフラッシュ容量など、仕様が異なる。なお、この数値は米Evaluator Groupによる最新の調査に基づいたものだ。これらの数値は非常に素晴らしいが、ハイパーコンバージドインフラ製品は、本当に大量のワークロードに対処できるのだろうか。
併せて読みたいお薦め記事
米VMwareの「EVO:RAIL」をまとめてチェック
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[日本オラクル株式会社] ピンチをチャンスに変えたEPR製品は? 先行企業の導入事例3選 -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] 無自覚なリスク 秘伝Excelファイルが監査の壁、不正・ミスの温床となる理由 -
製品資料
[日本オラクル株式会社] 戦略的経理の第一歩 失敗のない「脱Excel」を実現する秘訣とは? -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] いまさら聞けないオンプレERPとクラウドERPの違い 最適な製品をどう見極める? -
事例
[株式会社ビザスク] 連結売上高が約2倍に成長、富士フイルムが実践した新規事業創出の戦略とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
4
エンジニアの生産性はどう測る? マネジメントに不可欠な可視化の実現方法とは
-
5
「0.3秒のスピード顔認証」の入退室管理が社員に好評 事例に学ぶオフィス改革
-
6
慶應義塾が「Notion」を選んだ理由 AI導入の盲点になる“情報のサイロ化”
-
7
「IoT通信環境の構築・運用」に関するアンケート
-
8
ただなのに「12時間以内の復旧」も要求 無償OSSに商用レベルを求める企業の末路
-
9
アラート疲れと手動対応を解消 EDR、SIEM、SOAR統合で注意すべきポイント4選
-
10
大阪証券取引所がHiRDBで実現した「世界トップレベルの応答速度」を誇る新売買システム
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
2
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
5分で分かる Microsoft 365のデータ損失に備えるためのバックアップの仕組み
-
9
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー