買収提案を受け入れることにした東芝と、HDD市場で目立っている販売不振。ストレージ分野においてこの2つは切り離せない問題だ。東芝のHDD事業はどうなるのか。
HDD市場における販売不振が顕著になる中、気になるのはHDDの主要ベンダーである東芝の今後だ。同社は投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)による買収提案を受け入れることに決めた。経営再建を目指す同社が、HDD事業をどう扱うのかは、ストレージ分野にとっての大きな問題だ。東芝はどう動くのか。
東芝は主要HDDベンダーの一社だ。調査会社Statistaの調べによると、2022年のHDD市場のシェア(出荷台数ベース)はSeagate Technologyが43%、Western Digitalが37%、東芝が20%だった。
調査会社IDCのアナリストであるエドワード・バーンズ氏は、HDD業界3位という地位と、ストレージ分野における事業の垂直統合があまりできていない点が、東芝が競争力を失う要因になる可能性があると指摘する。現状のままでは、「将来的にHDD分野で必要になる投資規模に東芝は対処できない懸念がある」とバーンズは話す。
JIPによる買収が、東芝のHDD事業にとってプラスに働く可能性はある。東芝に対しては、JIPだけではなく他の投資ファンドからも買収提案があった。「少なくとも他の買収提案と比べれば、東芝のHDD事業の未来を守るという点では今回の決定が最善の選択だった」(バーンズ氏)
2022年から、世界的にHDD市場の販売不振が目立っており、この動向を抜きに東芝のHDD事業を考えることはできない。HDD市場の販売不振が続けば、HDDベンダーに与える打撃は大きくなる。
今後はHDD市場が好転する見込みもあるという。調査会社Coughlin Associatesのプレジデントを務めるトーマス・カフリン氏は「データセンター分野においては、2023年後半から回復する可能性がある」と予測する。
調査会社Objective Analysisで半導体分野のアナリストを務めるジム・ハンディ氏は、東芝のHDD事業に関する最終決定権を握っているのは、JIPだと指摘する。HDD事業が利益を生み出し、その市場でビジネスをすることが賢明な経営判断になる限り、JIPはHDD事業を支援しておかしくない。
「HDDの市場シェア維持に努めるか、HDD事業を売却するか。東芝の経営陣が持つ選択肢は2つだ」とハンディ氏は語る。
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