サーバ管理不要だけじゃない「サーバレスの利点」とは? 3つの例で解説サーバレスコンピューティングの基礎解説【第3回】

サーバレスコンピューティングのメリットは、単にインフラの運用管理が楽になるだけではない。そのメリットを、3つの活用例で解説する。

2024年07月08日 05時00分 公開
[Liam ClearyTechTarget]

 サーバレスコンピューティングでは、サーバの設定や管理などをクラウドベンダーに任せることができ、開発者はアプリケーションやサービスの開発に集中できる。どのような場合にサーバレスコンピューティングのメリットを最大限享受できるのか。3つの活用例を紹介する。

「サーバレスの利点」とは? 3つの活用例で解説

1.画像や動画のリアルタイム処理

 メディアやエンターテインメント、オンライン教育といった分野では、大量の画像や動画を処理する必要がある。画像のリサイズや動画フォーマットの変換、フィルターの適用などだ。サーバレス関数を用いれば、これらの処理を自動化できる。

 例えば、動画ファイルをアップロードすると、スマートフォンやタブレットなど複数種類のデバイスで視聴できる動画にサーバレス関数が自動変換する、といったことが可能だ。

 サーバレス関数は必要時のみ実行されるため、以下のようなメリットがある。

  • 従量課金モデルによるコスト効率化
  • 変動するメディアファイル量と、ピーク時の負荷に対応できるスケーラビリティ(拡張性)の確保
  • 処理時間の短縮

2.Webアプリケーションの稼働

 EC(eコマース:電子商取引)サイトや販促キャンペーンサイトなどのWebアプリケーションは、セール期間やマーケティングイベント中にトラフィック(通信量)が急増する。これらのWebアプリケーションにサーバレスアーキテクチャを実装することで、トラフィックの変動に応じて対処できるようになる。

 例えば、サーバレスAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)ゲートウェイで受信リクエストを管理し、高トラフィック時にはスケールアップさせることで、Webサイトの応答性を維持できる。これによって、次のようなメリットが得られる。

  • 過剰なリソースの割り当て防止
  • 運用コストの削減
  • 通信性能向上によるユーザーエクスペリエンス(UX)の向上

3.IoTアプリケーションの運用

 IoT(モノのインターネット)アプリケーションは、さまざまなセンサーやデバイスからデータを収集、分析する。IoTアプリケーションには、家具家電をインターネットに接続するスマートホームシステムや、産業機器や設備をインターネットに接続する「インダストリアルIoT」などが含まれる。

 サーバレス関数はIoTアプリケーションが収集したデータをリアルタイムで処理できる。さらに、データ集計や異常検出、アラート通知といったアクションを、特定の基準に基づいて実行可能だ。

 従来のサーバとは異なり、サーバレス関数はデータ受信時にのみ処理を実行する。そのため、コストを抑えつつ、デバイス数千台から送られてくるデータをリアルタイムで処理することが可能だ。


 次回は、サーバレスコンピューティングサービスの選び方を解説する。

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