AmazonのCEOは2021年中に創業者兼CEOのジェフ・ベゾス氏からアンディ・ジャシー氏に交代する。ジャシー氏はAWSの現CEOだ。AWSの次期CEOは誰になるのか。CEO交代後のAmazonの行方は。
Amazon.com(Amazon)のジェフ・ベゾス氏が2021年にCEOを退任し、Amazon Web Services(AWS)のCEO、アンディ・ジャシー氏が後任に就く。ベゾス氏はAmazonの取締役執行会長になる。前編「AmazonのベゾスCEOが退任 後任がAWSのジャシー氏になる“納得の理由”」に続き、複数の業界関係者へのインタビューから、Amazonの人事交代がAWSに及ぼす影響を考察する。
AWSはAmazonの事業拡大に重要な役割を果たしてきた。Amazonはこのことを考慮してジャシー氏をCEOに指名したと、調査会社Constellation Researchのアナリストを務めるホルガー・ミュラー氏は語る。ミュラー氏は「この人事なら、Amazonの新CEOがAWSを軽視するという誤った決断を下す恐れはない」と推測する。
ベゾス氏は新聞事業や宇宙探索など、興味の対象が小売業以外にも多岐にわたる。そのため「退任は驚くことではない」と、ITコンサルティング会社Moor Insights & Strategyの創業者でプリンシパルアナリストのパトリック・ムーアヘッド氏は語る。「AWSでの揺るぎない成功を考えると、ジャシー氏はベゾス氏の完璧な唯一無二の後継者だと言える」(ムーアヘッド氏)
AWSのトップは、ジャシー氏から別の候補者に交代する可能性がある。ミュラー氏はAWSの次期トップ候補者として、2人の名前を挙げる。その1人が、AWSのシニアバイスプレジデントを務めるピーター・デサンティス氏だ。デサンティス氏はグローバルインフラと顧客サポートを統括しており、10年以上にわたってジャシー氏と密接に協力している。
もう1人の候補者は、AWSの販売およびマーケティング担当バイスプレジデントのマット・ガーマン氏だ。「ガーマン氏は最も若い候補者であり、この2、3年で重要なポストを任されている」とミュラー氏は説明する。ジャシー氏の後任についてTechTargetはAmazonに問い合わせたが、回答は得られなかった。
ジャシー氏が次期CEOになることを受け、AmazonはAWS事業をさらに強化する可能性がある。フルフィルメント(注文処理)ソフトウェアベンダーの6 River Systemsでグローバルアライアンス責任者を務めるガイ・コーティン氏は次のように語る。「この人事交代は、Amazonが今後どの事業に最も注力するのかを示している」
米国政府は、Amazonをはじめとする巨大IT企業が、市場での支配的地位をどのように行使するかに注目している。このことからコーティン氏は、ジャシー氏のCEO指名には、Amazonの小売業のイメージを薄くして、政府の調査をかわす意図があるのではないかと推測している。「あるいはベゾス氏は、自身が関心を持つ宇宙プログラムのような新事業を立ち上げようとしている可能性がある」とコーティン氏は語る。
ベゾス氏が自分のガレージでスタートさせたAmazonから、完全に身を引こうとしていると考える関係者はほとんどいない。「Amazonのどの事業でも、今後もベゾス氏の存在は大きく影響するだろう」というのが複数の業界関係者の見方だ。
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