デジタル時代においてはプラットフォーム戦略がITの成功を左右する。企業がプラットフォームビジネスモデルにシフトする際に考えるべき、5つの大きな課題とは。
米国で2015年7月に開催された「MIT Platform Strategy Summit」で、Accentureの最高技術責任者(CTO)ポール・ドーアティ氏をはじめとする講演者が、多くの企業で急務となっている従来の製品サービスモデルからデジタルプラットフォーム/エコシステムをベースとするモデルへの戦略の転換をこのように表現した。
事実、成果に対するデジタルコンシューマーの高まる需要に応え、自社のプロセスを改革するために、企業はアジャイルテクノロジーを使用してITインフラの強化を急ピッチで進めている。このように、プラットフォーム経済では競争が激化しているとドハティ氏は話す。
ただし、プラットフォームビジネスモデルへの転換は、1回だけで済む簡単な資本投資ではないとドーアティ氏は警告する。プラットフォームビジネスに関わる企業は、意思決定を下す前に、5つの大きな課題(プラットフォームの二分法)について検討する必要がある。
「どの分野でも“勝者”はほんの一握りだ。米General Electric(GE)は、自社開発の「Predix」プラットフォームによって、そのような勝者の1社になることを目指している。GEはリーダーになるべく競争するという自社の見解をはっきりと打ち出している。そして、それを達成するために大規模な投資を行っている」(ドーアティ氏)
全ての企業がGEのように資金力があるわけではない。GE、独Siemens、オランダPhilipsなどのようにプラットフォーマーとしてプラットフォームビジネスを作るのか、パートナーとして自社のビジネスモデルを調整してプラットフォームの一部となるのかは、企業が下すべき重要な決断だ。ドーアティ氏は、この2つの違いを理解することは重要だとし、次のように付け加えている。「プラットフォーマーとパートナーのどちらが優位ということはないが、2つは大きく異なる。多くの企業はどちらにすべきか混乱しているように見える」
「プラットフォームビジネスモデルを目指すほとんどの企業は、プロプライエタリを選択する。企業は、他社と異なるプラットフォームを作ることで差別化を図る」とドーアティ氏は話す。
もう1つ検討すべきは、オープン技術の採用だ。多くの場合、オープン技術はオープンなAPIによって支えられているとドーアティは話す。同氏は、プロプライエタリプラットフォームとして出発したが、後によりオープンなモデルとして開発されるようになったGEのPredixを例として挙げている。
プラットフォーマーにとって、この二分法は特に重要な問題だとドーアティ氏は述べ、次のように付け加えている。「プロプライエタリを選んで競争力の高いメリットを生み出して他社を追い出すのか。オープンなプラットフォームを作成するのか。この判断は、非常に重要であるため熟慮しなければならない」
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