ONUGのオンラインイベントで、複数の専門家が注目すべきITの投資分野を語った。「クラウド」に対しては重要だとの認識で一致しつつ、慎重論も目立った。
将来を正確に予測することは不可能に近い。だからといって企業やアナリストがその試みをやめることはない。予期せぬ変化に見舞われたとき、企業は資金やリソースの投下先を見直す必要がある。その一翼を担うITチームは、優先すべき技術や製品を見極めなければならない。
ネットワークの業界団体ONUG(Open Networking User Group)主催のオンラインイベント「ONUG Spring 2021」で、投資の専門家やアナリストが、数年先を見据えた場合に注目すべき技術について意見を交わした。個々の意見はそれぞれ異なるものの、全体として共通するテーマが幾つかあった。まずはクラウドをどう見るべきかという問題だ。
「専門家同士の議論ではあまり歓迎されないが、クラウドの存在は常にある」。投資銀行Cowenでマネージングディレクター兼シニアリサーチアナリストを務めるポール・シルバースタイン氏はこう話す。
調査会社Synergy Research Groupによると、2020年にインフラのクラウドサービスに投資した企業は前年比約35%増で、投資額は約1300億ドルに達する。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が、サプライチェーンの混乱やハードウェアの出荷遅れを引き起こした。迅速にリソースを調達できるクラウドサービスの特徴が魅力を増し、特にパブリッククラウド(リソース共有型クラウドサービス)を利用する動きが広がった。調査会社Gartnerは、クラウドへの投資は今後数年にわたって増加を続けると予測している。
確かにクラウド市場は成長している。ただし依然としてクラウドには課題がある。例えばクラウドサービス間の相互運用性、インフラやアプリケーションの可視性、セキュリティといった課題だ。クラウドの課題は、ONUG Spring 2021のイベント全体を通して繰り返し提起された。専門家だけではなく、その他の講演者やセッションの聴講者も、クラウドの運用管理やコストの問題に言及した。
投資会社AO Asset Managementでプリンシパルを務めるスブ・スブラマニアン氏は、「クラウドへの投資とその効果を検討することは不可避だが、まだ不明瞭な点もある」と指摘する。スブラマニアン氏はクラウドの重要性は認めている。その一方で、クラウドの導入が何を意味するのかを見極めなければならないと強調する。「クラウドの影響は広く存在する。だがクラウドが万能ではないという確かな理由がある」(同氏)
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